【働く】知らぬ間に森林破壊の原因に?まずは紙からオフィス用品を見直す。 2022/08/18

Let's start a sustainable life vol.4

バナナの茎の繊維を使ったワンプラネット・ペーパー®のバナナペーパー。紙として、日本初のフェアトレード認証、クライメート・ポジティブを達成。



スウェーデンの事例を中心に、サステナビリティをよりわかりやすく伝える活動を続けている「One Planet Café」のエクベリご夫妻から、サステナブルライフを実践するための新しい視点やアイディア、モノの選び方を学びます。



コピー用紙と森林破壊は繋がっている。使うならFSC®認証のコピー用紙を



多くの人、特にオフィスワーカーにとって、仕事で使う紙やペンなどのオフィス用品は資源利用の大きなウェイトを占めています。まず思い浮かぶのはコピー用紙です。2020年統計で、日本の国民一人当たりの紙・板紙消費量は178.4kg。世界平均1人当たり53.3kgに比べるとその差は3倍以上と歴然で、世界でもトップクラスの使用量となっています(※1)。

※1 日本製紙連合会・世界の中の日本「国民一人当たりの紙・板紙消費量」より。板紙とはいわゆるボール紙のことで、段ボールなどに使われる厚紙のこと。

こうした紙・紙製品の主な原料が木材であることはよく知られています。木材を材料にした新しい紙繊維は「バージンパルプ」と呼ばれます。白色度の高い紙を作ることができるため、コピー用紙の多くは、このバージンパルプで作られています。

One Planet Caféのペオさんは、まず、何気なく使っているコピー用紙に目を向けることが、サステナブルな働き方の第一歩になると言います。

「日本で使われるコピー用紙のうち、5枚に1枚が、熱帯雨林の森林破壊につながる可能性が高いといわれています(※2)。オフィスで資料をたくさん印刷することが、知らず知らずのうちに、熱帯雨林の森に棲息している絶滅危惧種のトラやゾウの住処を奪っているかもしれません。少なくともFSC®認証のコピー紙を選べば、熱帯森林の破壊を避けることができます」

※2 WWF JAPANによると、インドネシアから輸入されるコピー用紙の割合、インドネシア産バージンパルプを輸入して作られる国産コピー用紙の割合を合わせると、4〜5枚に1枚がインドネシア産になる。インドネシアでは、産業用植林のための熱帯雨林の伐採が拡大しており、生態系への影響が疑問視されている。

FSC®認証は、森林の持続可能な活用や保全につながる国際的な認証制度です。森林の持続可能性はもちろんのこと、合法性や労働者の権利、先住民族の権利、管理計画など、幅広い視野で森林管理の評価・認証が行われています。日本でもFSC®認証は広く普及してきており、FSC®認証のコピー用紙は比較的容易に手に入れることができます。



FSC®認証パルプに古紙リサイクルパルプが配合されたコピー用紙。さまざまな配合比のものが売られている。



サトウキビや竹、そしてバナナ。再生速度の早い植物由来の紙にも注目を



もうひとつ、木材以外の、再生速度の早い植物由来の紙を選ぶという選択肢もあります。日本国内でも、サトウキビ由来のバガス繊維や、竹繊維を活用した紙の製造が広がっています。

「私たちOne Planet Caféが、紙の環境循環に貢献するために始めたのが、アフリカのバナナ農家や村の人々とのコラボで生まれたバナナペーパー事業です。バナナの収穫時に廃棄されるだけだったオーガニックバナナの茎から繊維を取り、これに古紙パルプやFSC®認証パルプを加えて紙を作っています。バナナは、とても成長の早い植物のひとつで、通常の樹木が10〜30年で成長するのに対し、バナナの茎は1年以内に再生成長するため、より早い循環で活用できるのです」とペオさん。

バナナペーパーの製造はアフリカ・ザンビアの村に仕事を生み出しており、貧困層の人々の暮らしを支えることにもつながっていると言います。さらに、2021年には、バナナ繊維20%以上配合のバナナペーパーは、クライメート・ポジティブの紙を達成しました。製造過程で出るCO2に比べ、150%のCO2を吸収・固定しているそうです。



バナナ繊維の天日干しをするザンビアの女性たち。One Planet Caféは農村部で25人を直接雇用しており、これまで150人を超える子どもたちが学校に通うことができている。



「企業は、こうした環境配慮紙を使うことが求められる時代になっていると思います。コピー用紙など大量に使う紙は、まずFSC®認証紙を利用する。また、名刺や賞状など長く使う紙にはバナナペーパーなどをぜひ使ってほしいですね。バナナペーパーはややコスト高になりますが、そのぶん大切に使ってもらえると思いますし、紙とのそんな付き合い方が当たり前になっていってほしいですね」(ペオさん)



紙製や竹製、じつはさまざまな文房具の切り替えが可能



紙以外のオフィス文具については、どのように考えれば良いのでしょうか。エクベリ聡子さんは、竹製などの自然素材や、再生素材で作られた文房具を時折インターネットで検索しては試しているそうです。



エクベリ聡子さんが愛用している環境配慮型の木材などの素材を使ったペン。



「例えば、私が今使っているペンは、軸に竹や再生プラスチックを利用しています。ビジネスで使用頻度の高いクリアファイルも、プラスチック製からFSC®認証の紙製ファイルに変えました。できる範囲で環境循環する素材にしてみよう、と挑戦すると、結構切り替えることができちゃうのです」

エクベリ聡子さんは、「動物を守る」「フェアトレード」「紙製」「竹製」などのキーワードと使用する文具名を組み合わせて検索しています。今では、こうした製品を調べることは半ば趣味のようになっていると笑顔で語ります。

「環境や生態系に配慮した商品には、それぞれ心温まるストーリーがあることが多いのです。それを知ること自体がおもしろいですし、勉強にもなります。がんばっている仲間探し、という側面もありますね」



リモートと出社、ハイブリッドが当たり前に。何のためにオフィスに行くか意識を



エクベリ夫妻に、急速に普及したリモートワークの環境負荷についても聞いてみました。

「もちろん、リモートワークには、自宅での電力使用量や資源使用量が増えるという側面もあります。ですが、平均すれば環境メリットがあると言えるでしょう。オフィスを稼働させるのはエネルギー使用量が大きいことですし、通勤や出張の代わりにリモートになれば、移動のエネルギーは大幅に削減されます。

自社のオフィスを手放して、コワーキングスペース、シェアオフィスを活用する動きも活発です。フレキシブルな働き方が当たり前になってきて、オフィスのエネルギー効率は上がっているところもあるのではないでしょうか」(ペオさん)

ペオさんは、これからの社会は、リモートワークと対面での会議、そのハイブリッドのスタイルがスタンダードになるだろうと言います。

「何となく行くのではなく、何のためにオフィスに行くのか?はっきりと目的意識を持つことで、エネルギーも、自分自身の仕事効率も上がり、仲間とのコミュニケーション力もよりよくなるかもしれません。リモートと対面のハイブリッドスタイルは、環境にも、私たちの生活にもプラスになるはずです」



監修:株式会社One Planet Caféエクベリ聡子さん、ペオ・エクベリさん

環境循環を基盤としサステナビリティに貢献するビジネスを生み出すことをミッションに、日本企業にむけた講演・ワークショップ、スウェーデンとザンビアでの視察ツアー、クライメートポジティブを達成したバナナペーパーの事業を展開。日本 、スウェーデン、ザンビアに拠点を持つ。2016年国際フェアトレード認証取得、2020年経済産業省作成のSDGsに取り組む企業事例15社の1社に。One Planet Caféの名前には、人と生きものが共存する一つの地球、地球1個分の暮らしとビジネスへという想いが込められている。