ボルボのサステナビリティイベント”For Life”がスタート。
世界的に有名な上勝町の「ゼロ・ウェイスト」な生活スタイルとは?
2023/08/08



MEZASU[めざす]
ボルボが“めざす”のは、「人」を守り「人の未来」も守ること。人だけでなく、地球にもポジティブな未来のために、私たちが実践しているサステナビリティをご紹介します。




ボルボが主催するイベント"For Life"を2023年4月にオープンした「Volvo Studio Tokyo」で開催しました。"For Life"とは、サステナビリティな情報とインスピレーションをみなさまにお届けするために、定期的に開催していくイベントです。
記念すべき、第1回目のゲストはSustainable for Lifeでもご紹介している 東 輝実(あずま・てるみ)さん。世界中で課題とされている地球環境に対して、日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言をした徳島県上勝町でカフェを運営しながら、町の暮らしをさまざまな形で発信している東さんの取り組みをお話しいただきました。その様子をお届けします。



ごみを減らすだけではない。徳島県上勝町の「ゼロ・ウェイスト」とは?



2023年7月21日の夜、およそ30名の参加者が集まるなか、イベントが始まりました。
最初に、ボルボのサステナビリティ推進担当であるニコ・ミラ氏の挨拶からスタートしました。

「ボルボは、大切な命を守るセーフティ、豊かな人生が続いていくためのサステナブル、一人ひとりの生き方が輝くためのパーソナルを大切にしています。これら3つの価値観が込められたのが”For Life”です。
”For Life”のイベントシリーズでは、日本でのサステナビリティに関する興味深い事例をきっかけに、この場にいるみなさんが新たな学びを得て、刺激を受ける場を築きたいと思っています。本日のテーマとなる徳島県上勝町の事例は、日本のみならず世界的にも大変有名です。私自身も本日の内容を大変楽しみにしています」

ニコ・ミラ氏の挨拶の後、マイクを手にしたのはゲストの徳島県上勝町の東 輝実さんです。「上勝のゼロ・ウェイストは心豊かな暮らしのために。〜45分別から見えてくる、『ごみとは?』を考えてみよう〜」というテーマで登壇。「ごみとは何か?」という問いをともに考え、日々の暮らしを見つめ直すきっかけとなる上勝町の取り組み事例をお話いただきました。





徳島市から1時間ほどの場所に位置する上勝町は、約1,400人が暮らす四国一人口の少ない町。2003年に日本で初めて「ゼロ・ウェイスト」宣言を行ったことでも知られています。

ゼロ・ウェイストとは、ごみをゼロにすることを目標に、できる限りごみを減らす活動のこと。町の財政事情も相まって1997年からごみを資源化する取り組みを始め、現在は住民自ら「ゼロ・ウェイストセンター」にごみを持ち込み、それらを45種類に分別。センターの隣には「くるくるショップ」と称するリユースショップが併設されており、不要になったがまだ使用できるものはここで次の持ち主の手に渡る仕組みになっています。その結果、2016年にはごみのリサイクル率81%を達成し、全国平均である20%を大幅に上回り、上勝町の取り組みは世界的にも知られるようになりました。

冒頭、東さんから「この写真はなにに見えますか?」の問いかけから始まりました。

「これはお椀の上から見たものです。どれくらいの大きさなのか、深さはどれくらいなのか、何枚重なっているのか、一枚の写真からでは情報が少なくて分かりませんよね。上勝町のことやゼロ・ウェイストについて考えるときも同じです。もっと深く知ろうと思ったら、一つの情報だけでなく、さまざまな視点から見ることが重要になってきます。そうすることで物事の本当の姿が少しずつ見えてきます。『ゼロ・ウェイスト』といっても、単にごみを減らすことだけでなく、上勝で暮らす人について今日はお伝えしたいと思います」

お椀の例えを用いながら、上勝町の「ゼロ・ウェイスト」とは、「ごみを減らす」意味だけではないと東さんは語ります。





体験し、考えることで「ごみ」の捉え方が変わる



東さんから参加者へ、上勝ルールでの分別のクイズも出されました。予想に反して、東さんのカフェやご自宅で出るごみはだいたい10種類くらいの分別をしている程度でした。(ごみステーションにてさらに細かく分別しているそうです)
上勝町の「45分別」と聞くと大変そうな印象がありますが、10分別だったら意外と自分でも実践できるかも、という気がしてきました。



上勝ルールの45分別に則りごみの一部を樹脂に閉じ込めた開発中の「ゼロ・ウェイスト キューブ(仮)」。会場では実物を手に取ることができ、何気なく捨てているごみを見直すきっかけとなり注目を集めた。



上勝町は2003年の『ゼロ・ウェイスト』宣言から20年がたち、これまでの成果を検証して、2030年に向けた新たな『ゼロ・ウェイスト』はごみゼロから豊かな暮らしへシフトしました。それは、町の⼈々と「あなたにとって『ゼロ・ウェイスト』とは?」という課題と向き合ったからだそうです。

アイデアの中には「ごみステーションのこと」「リサイクル率80%を達成すること」というものから「秋祭りを続けていくこと」「上勝阿波晩茶(かみかつあわばんちゃ)を次世代にのこしていくこと」などさまざまな価値観があることに気づいたといいます。

「上勝町で暮らしている人にとって『ゼロ・ウェイスト』とは、単にごみを減らすということではなく、文化・伝統・自然資源を守っていくためのものであることが分かりました。これは、『大切なものを守るために、ごみとどう関わるか』を考えていくことだということを実感しています」



「あなたにとって『ゼロ・ウェイスト』とは?」という課題から生まれたアイデアは60種類にものぼる。



お話の最後に、東さんから会場の参加者へ、もう一つの問いが投げかけられました。

「ごみは何色?なぜそう思いますか?」

「黒」「灰色」「茶色!」「黄色。商品のパッケージによく使われているイメージがあるから」「水色。収集車の色だから」「ごみの色はさまざまなので虹色」など、会場からはたくさんの意見が挙がりました。

「この問いに答えはありません。『ごみ』といってもこれだけ多様な解釈があるのです。ゼロ・ウェイスト、サステナブル、サーキュラー、リジェネラティブとさまざまな言葉が使われてきていますね。大切なのは、その言葉の意味を理解して使っているのかを意識することです。そして『サステナブル』と言っても解釈はさまざまです。自分にとってのサステナブルとはなにかを考えてみてください。さらに、ボルボやほかの企業が発信しているサステナブルとはなにか、ということにも目を向ければ、その言葉がより立体的に理解できるはずです」と東さん。



ご提供された上勝阿波晩茶(かみかつあわばんちゃ)。



参加者から次々に質問が寄せられた質疑応答の終了後は、上勝町で長きにわたり親しまれている上勝阿波晩茶(かみかつあわばんちゃ)を楽しみながら歓談の時間を過ごしました。

上勝町を訪れたことのある中学生の参加者は、「上勝を訪れた時には分からなかった、暮らしている方ならではの目線で上勝のお話を聞くことができました。自分が関わるごみを減らす活動のヒントをたくさんもらえました」とイベントを楽しんだ様子。



参加者と歓談する東さん。



ボルボユーザーである参加者は、「自動車メーカーがサステナビリティに取り組んでいることに驚きと興味を感じ参加しました。上勝町のことは知らなかったのですが、単にごみを減らすことに取り組んでいるだけでなく、ごみのことに向き合いながら、新たなチャレンジを続けていることが分かりました。今後のイベントも楽しみにしています」と新たな体験に刺激を受けたと語ってくださいました。

ボルボのサステナビリティイベント”For Life”は今後も定期的に開催予定。興味を持った方は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。