【食べる】野菜や豆中心の食事でCO2削減。注目される「プラントベース」 2022/04/28

Let's start a sustainable life vol.3

ゴットランド島のレストランのヴィーガンカレーは野菜が盛りだくさん。



スウェーデンの事例を中心に、サステナビリティをよりわかりやすく伝える活動を続けている「One Planet Café」のエクベリご夫妻から、サステナブルライフを実践するための新しい視点やアイディア、モノの選び方を学びます。



CO2排出量表示で環境負荷を見える化。「プラントベース」にも注目が集まる



マッシュルームとケールのラーメン0.5kgCO2e、スコッチビーフラーメン3.0kgCO2e、スパイスチキンラーメン0.8kgCO2e――

これは、2021年イギリスで開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)で提供されたメニューの抜粋です。「CO2e(CO2 equivalent)」は二酸化炭素換算の値で、各食事のCO2排出量がどれくらいになるかを表しています。このように、COP26で提供された食事にはすべてCO2排出量が表示され、値段だけでなく、環境負荷の高低によっても選択できる工夫が施されました。また、メニューには「All our pastas are 100% UK sourced.(パスタはすべて100%イギリス産)」という記載も。COP26の食事は、輸送によるカーボンフットプリントを削減するため、ほとんどイギリス国内、100マイル以内の食材を調達されたそうです。

「マッシュルームラーメンは0.5kgなのに、ビーフラーメンは3kgものCO2を排出する!こうして並べると誰もがわかるように、牛などの家畜による環境負荷は非常に高く、無視できないものです。サステナブルな食事を考えたとき、肉をどのくらい食べるか、ということは、最初に取り組むべき問題になるでしょう」とOne Planet Caféのペオさんは言います。

自身は20年以上肉を食べないライフスタイルを続けるペオさんですが、まずは、ちょっと減らしてみよう、くらい気軽に始めることを呼びかけています。「ゼロでなくても良いんです。食べる回数や量を減らすのは、誰もが、すぐにできること。魚や豆、野菜のメニューを積極的に選んで、肉のおかずは週3日くらいにしてみてはどうでしょうか」

肉を減らし、主なタンパク質源を野菜や豆類由来に切り替える。近年世界では、こうした食事を指す「プラントベース(PLANT-BASED)」という考え方が急速に広がりを見せています。先述のCOP26では、メニューのプラントベース比率は40%と明言されており、メニュー表の随所に「PLANT-BASED」の記載がありました。実は、日本の伝統的な和食は、地中海やインドと並び、プラントベースのお手本として注目されています。日本の私たちは、プラントベースを実現しやすい環境にあると言えるのかもしれません。



スウェーデン・MAXバーガーの先進事例。クライメートポジティブバーガー



環境先進国のスウェーデンでは、「MAXバーガー」の取り組みがよく知られています。MAXバーガーは、スウェーデン発のファストフードチェーンで、同国ではマクドナルドやバーガーキングに並ぶ人気を誇ります。



MAXバーガー店舗でのグリーンメニュー注文画面。「Lågt CO2e」とは低炭素商品のこと。



「MAXバーガーは、2008年、世界で初めて、全メニューのCO2排出量を表示した企業として知られています。CO2排出量の少ない選択肢として、具材が全てプラントベースのバーガーなど、グリーンメニューを開発し、多くの人に支持されており、収益も上げています。2018年にはクライメートポジティブハンバーガーを発売して話題になりました。MAXバーガーは、CO2削減と利益の追求は相反するものではないことを提示した好例になっています」(ペオさん)
クライメートポジティブ(Climate Positive)とは、CO2排出量をオフセットにした上でさらに、プラスのCO2吸収を行うこと。つまり、「環境負荷を減らす」さらに上の段階、「食べることで地球環境にとってプラスになる」ことを意味しています。MAXバーガーはCO2排出量をオフセットするために植林を行なったり、排出量取引を行い、「クライメートポジティブ」なハンバーガーを実現したのだそうです。



魚売り場には絶滅危惧種も。選ぶ時には「資源回復」の視点が必要



サステナブルな食事を考える時、もうひとつ、忘れてはいけないのが生物多様性の問題です。ペオさんは、お店の魚売り場に立った時、この魚は資源回復できる以上に漁獲されていないか?そんな疑問を持ってほしいと言います。例えば、魚売り場で普通に目にする「メバチマグロ」は、IUCNレッドリストで絶滅危惧種Ⅱ類に指定されています。

「判断の手助けになるのは、やはりMSCマークなどの認証ラベルです。日本ではまだまだ普及しているとは言えない状況ですが、今後、国際的には、漁業関係企業は漁獲プロセスの開示や資源回復への貢献が必須になっていくと思います。日本の実情にあった評価基準と、認証制度のアレンジも必要かもしれません」(ペオさん)

「海のエコラベル」とも呼ばれるMSCマークは、国際環境団体であるMSC(海洋管理協議会)が認証を行う認証マークです。水産資源と環境に配慮し、適切に管理された、持続可能な漁業で獲られた水産物に付けられています。そのほか、環境や地域社会に配慮した養殖場で生産された、持続可能な水産物の証である「ASCマーク」もあります。産地と食卓が離れ、食べ物の生産過程が見えづらい現代では、こうした第三者機関による認証ラベルが選択の手がかりになります。



全国スーパーチェーン・COOPの魚売り場では、大半がMSCやASCの魚介。



「スウェーデンでは、『認証ラベルはよいお買い物の友達』という言い方があります。日本でも、こうした認証ラベル取得への機運は高まっているように思いますし、実際に見かけることも多くなってきました。ラベル付きの商品を探して購入することは、マークを取得している企業への支持にもなります。購入する時に、ぜひ探してみてくださいね」(ペオさん)



監修:株式会社One Planet Caféエクベリ聡子さん、ペオ・エクベリさん

環境循環を基盤としサステナビリティに貢献するビジネスを生み出すことをミッションに、日本企業にむけた講演・ワークショップ、スウェーデンとザンビアでの視察ツアー、クライメートポジティブを達成したバナナペーパーの事業を展開。日本 、スウェーデン、ザンビアに拠点を持つ。2016年国際フェアトレード認証取得、2020年経済産業省作成のSDGsに取り組む企業事例15社の1社に。One Planet Caféの名前には、人と生きものが共存する一つの地球、地球1個分の暮らしとビジネスへという想いが込められている。