サステナビリティの本質を学び、考え行動し、伝える人をつくる。ボルボの「サステナブル・アクション・トレーニング」 2023/10/19



MEZASU[めざす]
ボルボが“めざす”のは、「人」を守り「人の未来」も守ること。人だけでなく、地球にもポジティブな未来のために、私たちが実践しているサステナビリティをご紹介します。



ボルボはサステナビリティを大切にこれまで長く活動しています。それは、環境への負荷を最小限にし、社会的責任を果たし、持続可能な未来を築くことです。この価値観をより深く理解し、自ら考え、 アクションする人を育てるために。全国のボルボのディーラーを対象に「サステナブル・アクション ・トレーニング」をスタートしています。 トレーニングのキーワードは、「納得感」と「行動変容」。座学だけでなく、グループワークやゲームなどを盛り込み、課題解決の行動へつなげる「サステナブル・アクション アイデア・コンテスト」まで。ボルボ独自のプログラムをご紹介します。



ボルボのサステナビリティに特化したトレーニングとは?



創業時から「人の命」を守ることを大切にしてきたボルボは、車が与える環境への負荷を認識し、同様にサステナビリィにも取り組んできました。その取り組みをより深く理解するだけでなく、ディーラーとして自らが考え、行動するためのプレゼンテーション「サステナブル・アクション アイデア・コンテスト」に向けて、段階的に学べるように4つのモジュールの「サステナブル・アクション・トレーニング」を全国にあるボルボの各販売拠点にいるサステナビリティ担当者を対象にスタートしています。



サステナビリティに特化した4段階のトレーニングを受けて「サステナブル・アクション アイデア・コンテスト」に挑むプログラム。ベスト8に選ばれるとスウェーデンでのサステナブルな取り組みを中心に学ぶ海外研修が与えられる。



トレーニング初日、サステナビリティ責任者のニコ・ミラ氏は、このトレーニングの意義について伝えられました。
「ボルボは2030年までに販売する全ての自動車をEVにすることをめざしています。しかし、EVを販売するだけでは、真にサステナビリティな企業になったとは言えません。ボルボの一人ひとりが率先してサステナビリティを学び、それをお客様、同僚、友人などに伝えることができれば、日本社会全体がより良い、サステナブルな未来へ向かうことができます」

モジュール1のテーマは、「なぜボルボはサステナビリティに取り組むのか?」。

大前提となる「ボルボが掲げるサステナビリティ」の価値をきちんと理解し、周囲に語れるようになることをミッションとしています。だからこそ、なぜボルボがサステナビリティに取り組むのか、そして「サステナビリティ」という言葉そのものの意味や難しい専門用語など、ひとつひとつ時間をかけて丁寧な解説をしていきます。

モジュール2~4では、ボルボのサステナビリティの取り組みとして重点を置く「クライメートニュートラル」「循環型社会」「倫理的で責任のあるビジネス」に焦点をあて、納得感のある理解を促すために、モジュールごとに異なるアプローチでトレーニングを実施していきます。

今回のトレーニングをニコ氏とともにつくり上げ、実施している担当の柴田さんに、トレーニングを通じて大切にしていることについて教えていただきました。



ボルボの「サステナブル・アクション・トレーニング」を担当している能力開発グループの柴田さん。



柴田さん「サステナビリティは一概に数値化できるものではないので、必要性を実感してもらうためには自分たちが気候変動問題の一部であることを、いかに自分ごととして『なるほど』と納得してもらうことが必須だと思っています。その納得感や実感が出てくると、『サステナビリティ実現のために、何か行動してみようかな』という気になってくる。座学だけだと、つまらないし、トレーニングが辛いものになっていまいますよね(笑)。なるべく具体的なものに置きかえてわかりやすい言葉にしたり、協働して考えるグループワークや、ゲーム形式で楽しく学べるトレーニングを取り入れることで、より「深い理解」につながっていくと思っています」



行動変容につながる、「納得感」が得られるトレーニング



「サステナビリティ」と聞くと、具体的なイメージが湧きづらく、自分からは遠い話にも思えますが、ボルボのトレーニングでは、身近な事例に焦点をあて、具体的な実例と結びつけられています。例えば、多くの方が感じている国内で頻発する自然災害例や、各販売拠点の運営で出されたCO₂のデータを見ながら、気候変動との関連性を考えたり、これらの問題に対してどのようなアクションで減らすことができるかを問いかけがされたり。どれも自身の生活や仕事など、身の回りで起こっていることが“地球環境の変化と関係している”と実感できるようにしていきます。



ボルボの価値観を踏まえ自分たちがどうアプローチしていくのか、ディスカッションしながら共有しました。



さらには、事業活動が地球に与えている影響についても正直に取り上げています。例えば、走行時にCO₂を出さないEVですが、製造段階では多くのCO₂を出してしまうということ。このような課題に対処するための取り組みについても詳しく説明され、ボルボの事業における環境への影響と、それを軽減するための取り組みについて理解できるようになります。

また、参加者が主体的に取り組める、カードゲームの「2030 SDGs」を用いてSDGsの本質を体験します。これは、ゲーム内で体験したことと、現実の自身の身の回りで起きている問題が自然と結びつき、自分ごと化することにつながります。



SDGsゲームの様子。「2030 SDGs」はSDGsの17の目標を達成するために、現在から2030年までの道のりを体験しながら理解するためのゲーム。



柴田さん「カードゲームの「2030 SDGs」を通して、環境のことだけ考えていると社会が成り立たなくなることや、経済を回してお金を稼ぐからこそ環境に目が行って、そのために投資することができると気づく人もいました。社会と経済と環境の3つの側面にバランスよく取り組んでいかないと社会システムが回っていかないものだと気づいた人も多かったですね。ゲームの中だとしても、小さな成功体験や楽しさが納得感につながったと私も実感しています。参加者の中でも『うちの店舗でもやってみたいです!』という声をたくさんもらいました」



理解して終わりでなく、小さなアクションを続けるマインドを育てる



ボルボの「サステナブル・アクション・トレーニング」ではランチでも、プラスチックを最小限の環境負荷に配慮されたお弁当が出されました。大豆ミートの焼肉とサバと鶏の3種類用意され、参加者は選ぶものによって環境負荷の違いを知ることができ、多くの参加者が興味深く聞き入る様子もありました。これは、誰にとっても普段の生活のひとつなので、自身の食事選択が環境に対する影響を考えることにつながります。





最後のトレーニングのモジュール4では、環境と経済と社会のバランスについて改めて考えました。それは企業がただ利益を追求するだけでなく、社会や環境にも責任を持つべきであるという考え方。そのためにはボルボに関わる全員がサステナビリティの担い手にならないといけない。4つのモジュールで経験した『納得感』を行動に変換できれば、周りを巻き込む大きな力が生まれます。自分の力を無駄だと思うのではなく、小さな変化を継続的に起こすマインドが大切だと、ボルボのトレーニングでは伝えています。

柴田さん「劇的な行動変容ではなくて、自分の行動が地球に影響を与えていると理解して、先ずは何かしらの行動を自ら起こせれば良いと思っています。ただ、その行動が表面的なごまかしにならないように、ということには私も常に気を配っています。だからこそ、トレーニングでもボルボが地球に与えている影響について正直に事実を伝えたり、本質的に何が問題なのかをしっかり伝える一方で、その問題に対してボルボが前向きに取り組んでいることも伝えて、物事の両側面を見てもらうようにしています」



柴田さんが今でも大切にしている20数年前に実施された「サステナブル・トレーニング」のテキスト。



トレーニングに熱意を傾け、スタッフを支え、時には温かく見守る柴田さんも、実はボルボのトレーニングから影響を受けた一人です。

「私が入社した20数年前には、すでにボルボはサステナビリティのトレーニングを行っていました。車をつくることが、地球に様々な負荷を与えているのだと知り、当時はかなり衝撃を受けましたね。同時に自分たちがどう行動するべきかをとても分かりやすく伝えてくれて。ボルボの伝えているサステナビリティの本質はずっと変わっていないなと実感しています。今も私が地球に与える影響を意識して行動しようと思うのは、こういうトレーニングがあったおかげです」